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いにしえゲーム血風録 十七回裏 「ドルアーガの塔(ゴールドマトック編)」

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 さてAC版ドルアーガの塔がリリースされたのは1984年。この頃の私はまだゲーセンどころかデパートの屋上遊園地(パンダカーやエレメカ、小さい筐体のアーケードゲームが集まっている楽園)の存在にすら気が付いていないクソガキでありました。したがってAC版をプレイすることはなく(プレイしてたら大変豪胆な小学生である)、となると当然、小学生のゲームの友「ファミコン」にて邂逅することになるのであります。

 

 さてAC版の好評を受け、様々なプラットホームに移植された本作ですが、最初に移植されたのはファミコンでした。しかもAC版発表の翌年、1985年というからスゴイ早さです。そして当時の小学生はファミコンの面白さにズッポリとハマっていましたから、当然ドルアーガの塔もファミコンを持つ小学生なら誰もが持っている…わけではありませんでした。

 私の仲間内だけかもしれませんが、驚くほどドルアーガの塔を持っている友達はいませんでした。まぁ、ノーヒントでクリアするには小学生にはむつかしすぎましたし、一応攻略本もFC版リリースから間を空けずに発売されましたが、当時ファミコンソフトは4000円前後、攻略本は400円ほどでしたから、併せると小学生にはなかなかの出費と言えました。

 

 まぁ、様々な理由が考えられますが、今や真実は分かりっこありません(30年後の現在、どういう理由で『なんでドルアーガ買わなかったの?』などと聞けるでしょう。いや聞けない(反語))。とにかく、私の周りでは2人くらいしかソフトを持っていませんでした。で、私はくどいようですが「ファミコンを持っていなかったので」その奇特な方の家で遊ばせてもらいました。

 雑誌(コロコロコミックとか)などで操作方法や「宝箱を取らないと絶対にクリア出来ない」ということは知っていましたし、その友達も攻略本を持っていましたが、しかし「答えを知っていること」と「答えを実行出来ること」は言うまでもなく別問題でありまして、つまりむつかしかったのです。

 制限時間内に宝箱出現条件を満たすだけでも苦労するのに、ステージは迷路になっていますから、小学生ならカンタンに迷います。で、敢え無く時間切れになるか、敵に見事にやられるかのどちらかでありまして、2階のジェットブーツを取るか取らないかというあたりが限界でありました。

 結局満足にプレイすることなく、ドルアーガの塔は私の血風録からしばし姿を消すのです(おおげさ)

 

 さて時は一気に飛んで十数年後、我が家の初代ゲームバカである長兄が何を思ったかPSを購入し、「ついに我が家にもゲーム機が来た!」とばかりに、私も遊び倒していました(もっともソフトのほとんどは長兄が買っていた)。そんなある日、ついに長兄は買ってきましたよ、「ナムコミュージアム VOL.3」を!

 「血風録 ~源平討魔伝の回~」でもご紹介しましたが、ここで今一度ナムコミュージアムのご説明を。これは過去のナムコ作品を4、5本まとめて1本のソフトにしたもので、ほぼ完全移植である上に、ゲームの設定資料やインストカード、チラシや筐体に飾るPOP、ドットパターンやBGMの試聴、ゲーム攻略情報なども収録されていました。

 そしてプレイヤーはポリゴンで作られた3DのVR博物館内を歩き回り(たまに酔う)、あれもこれも好き放題に閲覧出来るという、まさにミュージアムという内容で、ナムコファンなら垂涎のブツでした。

 ナムコ大好きな長兄は、ご丁寧にVOL.1から買い揃えていて、ゲーム本編はもちろん、関連資料も食い入るように眺め(基盤の写真も収録されていましたが、これもウットリと眺めていました)、それはもう満足気でした。で、私もかつてのナムコの名作たちに触れ、おかげで立派なレトロゲーム好きになったわけであります。

 

 さて、今回長兄の買ってきた「VOL.3」には「ギャラクシアン」(固定画面STG)、「ミズ・パックマン」(海外で作られたパックマン。スピードが色々と速い)、「ディグダグ」(穴掘りACT)、「ポールポジションⅡ」(F1レース)、「フォゾン」(分子結合ACT)、そして「ドルアーガの塔」が収録されていたのです。レースゲーム好きの長兄はもちろん「ポールポジションⅡ」が気になっていましたが、私は封印されていた遥か昔の記憶が蘇り(中二病)、何よりも「ドルアーガの塔」が気になったのでした。

 そんなわけで、長兄のプレイの合間を縫って、私は勇んでドルアーガの塔に挑戦することにしました。…妙に強気じゃないかって?そりゃそうです、付録として「宝箱出現方法リスト」が封入されており、宝箱の出し方はもちろん、アイテムの効果まで事細かに書かれているのでした。これで脳細胞が熱暴走するまで頭を捻る必要がないのです!つまり、頑張ればクリア出来る!やった!かあちゃん、オレも60階に行けるよ!

 

 しかしリストの裏面を見て、私は首を傾げます。ヘンな絵文字の羅列がいくつも記されているのです。三角やら曲線やらで、当然意味が分かりません。しかしこれら絵文字の上方には「ITEM LIST」とあり、絵文字の羅列は60パターンありますから、多分これもドルアーガの塔の宝箱出現リストなのでしょう。

 …?え?表のこれは、宝箱出現リスト。で、この裏の絵文字も、宝箱出現リスト?なんで2種類もある…、あッ!裏面か!(裏だけに)そういえばFC版にも裏面があった!PS版にもあるんかい!ホントにナムコ、ナゾナゾ大好きだな!

 …しかし裏面へはどうやって行けばいいのでしょう。…あ、FC版では、表のエンディングの最後にコマンドが出て、それをタイトル画面で入力すると裏面に入れたっけ。…ということは、今回もまず表をクリアしないと、裏面のプレイ方法が分からんわけだな、ナムコだからね(そして数年後、「バベルの塔」で同じ目に遭うことになる)

 

 いずれにせよ、私はドルアーガの塔を満足にプレイしたことがありませんから、まずはフツーに表をプレイすることにしました。その前に、ミュージアム内のドルアーガの塔のブースを見学します。インストカードにチラシ、ディップスイッチ(ゲームの設定を変更できるスイッチ)の表、ドルアーガの塔のボードゲームなどが陳列されています。そして奥に「遊び方」のスクリーンがあります。

 そこにはゲームの操作方法や、当時の様子などが語られています。そして最後の画面に

 

「60階をクリアした時、ここに秘密のメッセージが現れます」

 

 …とありました。コレだな。ここに裏面へのヒントが出るに違いない。そのように勝手に確信した私は、次に「攻略情報」を閲覧します。マトックの使い方、敵の呪文の効果、ナイト族の倒し方、などなど。ふむふむと頷き、いよいよブースの最深部です。そこは暗雲立ち込める荒野で、イナズマをバックに馬鹿でかいドルアーガが見得を切り、その足元にチョコンと筐体が置いてあります。…ものすごくプレイしづらい環境ですが、とにかく席についてプレイ開始です!

 

 久しぶりのドルアーガの塔ですが、開始直後にまず驚いたのが「ギルの遅さ」でした。多分黄金の鎧が物凄く重いのでしょうが、こんな「すばやさ」では「邪聖剣ネクロマンサー」だったら、たちまち敵にボコられて全滅です。「こんな移動速度でゲームが成り立つのか?」と、至極真っ当な疑問が頭に浮かびましたが、すぐに「あ、だからジェットブーツがあるのね」と自己解決しました。さすがナムコ、人並みの優しさはあるようです(でも宝箱に隠してあるからイジワルとも言える)。

 

 さて問題の宝箱です。出現方法はアンチョコ(参考書の意:死語があり、その通りにやれば良いだけなので問題ないように思えました。確かに最初のうちは「グリーンスライムを3匹倒す」とか「ブルーナイトを倒す」とか「扉を通過する」などの、それほどむつかしくない条件でした。

 しかし10階あたりから「レッドスライムの呪文を盾で受ける」とか「扉を通過してから敵を全滅させる」とか「ウィザード(魔術師族の一種)だけを全滅させる」など、次第にむつかしくなっていきました。

 そして30階付近から遂に「『上右下左上右下左上右下左』と入力」「スタートボタンを押す」という条件になり、もはやゲーム本編とは関係のない、ある種メタレベルの謎解きに突入します。もうノーヒントでは絶対ムリですよ、コレ。当時のプレイヤーはどうやって見つけたのか、そしてどれだけの財力が必要だったのか、急に怖くなって私は考えることを止めました。

 

 宝箱出現もむつかしいですが、ACTとしてのむつかしさも上昇していきます。ナイト族は強くなり、魔術師族は呪文を乱発、即死キャラであるウィスプ(一応アイテムで無効に出来る)がウヨウヨいるフロアもあります。敵にやられてはミスし、宝箱出現に失敗して意図的にミスし、宝箱が出たのに取りに行く途中で呪文を喰らってミスし、結局、1つの面で4、5回コンティニューすることも珍しくなくなってきました。

 それでもギルが徐々にパワーアップしていくのは楽しく、見た目もゴールドにブルーのカラーリングに変わってカッコよくなっていきます。「ハイパーガントレット」でギルの剣さばきが速くなり、「レッドネックレス」で火柱を通過出来るようになり、「ゴールドマトック」で壁壊し放題になる…!初期状態があまりにもショボかった分、パワーアップが非常に心地良かったです。

 

 そしてついに59階、ドルアーガとの決戦です!BGMも専用のものに変わり、物語がクライマックスに差し掛かったことを告げています。アンチョコによればここには宝箱はなく、ドルアーガを倒してゴールすれば良いようで、ドルアーガを倒さずにゴールすると「台本と違うだろ」的なお叱りを受け、下層階へと落とされてしまうようです。

 しかしドルアーガは最初から出現していません。いくつかの条件をクリアしなければならないようです。そうか、この階は宝箱の代わりに、ドルアーガを出すんだね!妙に納得した私は、ドルアーガ出現条件を読み、そして目が点になりました。ドルアーガ出現条件は以下のようなものでした。

 

1:足の速いハイパーナイトを倒す

2:4人に分身したウィザードを倒す

3:クオックス(ドラゴン族)を倒す

 

 …3連戦!しかもこれをこなして、ようやくドルアーガが出現なのか!しかし偉業を成すには越えねばならない山がある…ッ!(おおげさ)私は居住まいを正し、心の中で「イヤァーッ!(景清風)」と雄叫びを上げて、59階に踊り込んだのでありました(だからおおげさ)

 

 最初のハイパーナイト討伐がそんなにむつかしくありませんが、次の分身ウィザードが面倒でした。何しろ4体同時に出現し、一斉に呪文(しかも壁を貫通する)を放ってくるのです。隙を見て倒しに行きますが、本体は1体しかいないので、なかなか倒すことが出来ません。

 フロアの中央で戦うと、最悪、上下左右の全方向から呪文を喰らってしまうので、フロアの隅で戦います。例えばフロアの右上の隅で戦えば、ウィザードは左方向と下方向しか出現しないので、そちらの方向だけに注意を払えばよいのです。

 そして何度目かのコンティニューで、遂に分身ウィザードを撃破!次いで出現したクオックスは何故か一撃!(『ルビーメイス』というアイテムの効果らしい)いよいよ真打ち、ドルアーガの登場です!

 …なんか緑の人が、貫通呪文をバンバン放ち、壁を突き抜けて、スゴイスピードで迫ってきます。

 

「…コレか。確かに悪そうだな、主に健康に。」

 

 この時、私は何故かそう思ってしまいました。多分、チョコマカとした動きといい、呪文の「ゥワワン」という音といい、ゴ○○リを連想したんだと思います。しかしすぐに我に返り、遺恨十年とばかりに攻撃!そしてわりとあっさり倒せました。…倒した!やった!そしたら、もうこんな所とはオサラバです!60階に向かいましょう!

 

 60階。神秘的なBGMと長い回廊で構成されたフロア。私はアンチョコの通りに手順を踏み、女神イシターに謁見し、クリスタルロッドを掲げ、巫女カイの呪いを解き、そして最後に平和の象徴「ブルークリスタルロッド」を掲げます!すると、あぁ、輝かしいファンファーレが鳴り響きました!オールクリアです!

 

 非常に簡素でしたが、それでも私は興奮冷めやらぬままにエンディングを眺めました。…ようやくドルアーガの塔をクリア出来た。長かった…(時間にして約6時間)。しかし当時のプレイヤー達はもっと長かったでしょう。本当にアーケード向きではないゲームであることを、嫌というほど思い知らされました。こいつぁオイタが過ぎるぜ、ナムコ。

 おっと、これで「表」がクリアしたことになるな。あのブースの「遊び方」には、どんなメッセージが出現するんだ?私はゲームを終了し、VR博物館へと戻ったのでした。

 

 

 

 続きます。



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todome

過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

 - ゲーム, いにしえゲーム血風録, トドメ氏

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