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いにしえゲーム血風録 十二回裏 「メトロクロス(クラッカー編)」

      2016/12/17   posted by

 時は1980年代半ば。この頃、世の小学生が何に目を輝かせていたかといえば、もちろんファミコンです。さすがに私の周りで発売当初から購入した人は稀でしたが、1985年前後、ハドソンとナムコが参入した頃にはほとんどの子供が持っていました。

 任天堂製のゲームももちろん面白かったのですが、PCやACからの移植を得意としたハドソンと(例えば『ロードランナー(元々はブローダーバンド社)』や『スターフォース(元々はテーカン)』)、ACで次々と傑作を輩出していた黄金期のナムコですから、PCゲームのクオリティやゲーセンの興奮をそのままに伝えることに長け、実際本当にPCやACで遊んでいるような感じだったと友人は言っています…えぇ、私は持っていませんでしたが?ともあれ、これら2つのメーカーがファミコン黎明期を大いに盛り上げてくれたことは事実です。

 そしてこの年、多くのサードパーティーがファミコンに参入し、多くの名作(例えば『ポートピア連続殺人事件』『イー・アル・カンフー』『スーパーマリオブラザーズ』など)が生み出され、それ以上に大量の問題作(例えば『スペランカー』『アストロロボSASA』『カラテカ』『いっき』など)が世に問われ、ファミコンは大輪の花を(あるいは毒の花を)咲かせることになります。

 

 さて当時ソフトはだいたい4,500円ほどでしたが、しかし小学生の少ない小遣いを考えるとやはり高額です。そうなると当然「どのソフトを買うべきか?」という問題にぶち当たるわけで、ここで頼りになるのが「○○メーカーのソフトだから大丈夫だ」という、いわゆるネームバリューになってきます。

 このネームバリューを当時強力に持っていたのが、先に挙げたナムコとハドソンだったわけで(私感ですが)、玉石混合で発売されるソフトの中から「ナムコだから大丈夫」とか「ハドソンだから面白いだろう」という安心感から、多くの小学生がこれらメーカーのソフトを買うことになるのです(特にハドソンは『コロコロコミック』の影響が強かったと思われます)。

 これがどういう事態を引き起こすのかというと、クラスメイトの全員が同じソフトを持っている、という状況になります。実際、私の友人達はもれなくナムコやハドソンのソフトを持っていました。そして各々の家で攻略し、その情報を学校で披露しあう、という流れになるのです。その会話に加われなかった私は、それはそれは辛…、いや!今はそんな話をしている時ではありません。つまり今回紹介するメトロクロスも、クラスのほとんどが持っていたわけで、ゲーム弱者の私も容易にプレイする機会が得られた、という訳なのです(平たく言えば『他人ん家でタダゲー』)

 

 さて1986年のある日。友人の家に遊びに行った私は、初めてメトロクロスを目にします。通路を敷き詰める白と青のタイル、時折現れる緑色のタイル、ハードルやスケボー。そして巨大なドラム缶。見た目はごく普通のゲーム画面でしたが、しかし何だか不思議な感情を抱いたのです。今思えばそれは「奇異」であったと思います。

 というのは、それまで発売されていたファミコンソフトは、大抵が色鮮やかなグラフィックやアップテンポのBGMによって「とても面白そうな感じを全力で発信している」感じがしたのですが、メトロクロスは明るい色調を使ってはいるものの、どこか抑え目で単調な感じです。またBGMも寂しげで単音が耳に残る独特のメロディーでした。つまり「面白そうな感じをまるで前面に出していない」ように見えたのです。

 このずいぶん乾いた感じのゲームはなんなのだ?しかしプレイしている友人の目は真剣で、がむしゃらにコントローラーを握りしめ、ボタンを押す指先にも力がこもっています。それどころか、いつもはなんやかんやと軽口を叩きながらゲームをプレイしているのに、今回は無言です。かなり没頭している様子でした。

 …どうやら面白いゲームのようですが、友人のプレイスタイルが異様です。とりあえず画面を眺め、横に転がっていた説明書を読んでいると、やがて画面上の自機らしい人物が感電し、ゲームオーバーになりました。ここで友人はようやく一息吐きました。そしてこちらを見て、不敵にニヤリと微笑んだのでした。まさに狂気を感じる、戦慄の瞬間ッ…!

 

 友人は何も言わずにコントローラーを押しつけてくるので、とにかく私もプレイさせてもらいました。ルールは先程読んだ説明書で理解しています。とにかく突っ走ってゴールに到達すれば良いのです。さぁ、ゲームスタート!物悲しげなジングルの後、ランナーが登場し、走り出します。まずはドラム缶が転がってきますが、難なくジャンプでかわします。次に緑のタイルが現れ、ここは足が滑ってスピードダウンすることは分かっているので、やはりジャンプで越えていきます。途中にあるアルミ缶を踏むと、赤い文字で「TIMER STOP」と表示され、制限時間の減算が止まります。うんうん、説明書の通りだ(あたりまえ)

 その後も落とし穴やジャンプ台が出現しますが、ジャンプでかわしたり、上手く大ジャンプをしたりと、それほどむつかしい内容ではありませんでした。そのまま難なくゴール。ランナーは肩でゼェゼェと息をし、タイムボーナスが加算されます。…フツーのゲームじゃないか。一体友人は何故あんなに鬼気迫っていたのだろう?そして2面が始まりました。

 

 今度は緑のタイルが大量に出現し、結果ノーマルタイルの細道を作っています。加えてハードルが設置され、意地の悪いことにハードルのすぐ向こうにアルミ缶が設置してあります。ハードルを上手くジャンプしなければ踏めない仕掛けのようです。私は無理に踏むことはせず、安全にハードルの横を走り抜けます。次にスケボーが登場しました。これに乗れば緑のタイルは無効になるので、早速搭乗。心なしかスピードも上がった気がしますし、何より緑のタイルの上をスイスイ走れるのは気持ちが良いです。

 ヘヘン、簡単なゲームじゃないか、と思った矢先、突如ドラム缶が登場し激突!盛大につんのめります。いかん、気が緩んでしまった。気を取り直して走り続けると、またスケボーが登場します。迷わず搭乗し、フフ~ンと愉快な旅の始まりです。と思ったのも束の間、再びドラム缶が登場し激突!盛大につんのめります。

 …ここで私は妙な気持ちになりました。なにか、こちらの行動が、いや、こちらの心が読まれているような感覚…?さぁお乗りなさい、と言わんばかりに設置されたスケボー。しかしそれに乗ると絶妙なタイミングで転がってくるドラム缶…。いや、そんなバカなことが…。妙な気持ちのまま2面クリアです。

 

 そして3面が始まります。今度は緑のタイルが見当たりません。代わりにコースの中央にジャンプ台が設置されています。特に考えもなく、大ジャンプをしますと、着地地点にまたジャンプ台が設置されています。当然また大ジャンプをします。すると次の着地地点にまたジャンプ台が設置されています。そうか、ここはジャンプ台を連続でジャンプする面なのだな、とすぐに理解出来ました。次のジャンプ台も着地地点に設置されているんだろう、と考えてますと、ジャンプ台がないッ!?ジャンプ台がコースの端に設置されています。慌てて空中で制御をしますが間に合わず、敢え無く地べたを走る羽目になりました。

 しばらく走るとまたコース中央にジャンプ台があり、再び大空を舞います。そして着地地点にはまたジャンプ台が設置されています。そして次の着地地点にジャンプ台が、ないッ!?またジャンプ台がコース端に設置されています。敢え無く地べたを這い回る輩に逆戻り。しばらく走るとまたジャンプ台があり、大ジャンプをしますが、今度は最初から着地地点にジャンプ台がなく、またコース端に設置されています。その先もジャンプ台はコース中央だったり、コース端だったりと、上手く連続ジャンプが出来ません…。

 空中にいる私は、次のジャンプ台がどこにあるのか血眼になりました。次は…端!?当たった!次は…中央!?あぁ、また端だった!今度は中央!端!端!中央!まるで製作者が「次はどっちだと思う?」と囁きかけているような、まさに心理戦です。やがて私は言葉が少なくなり、ついに無言になりました。そう、まるで先程の友人のように…。

 結局3面でゲームオーバーとなりましたが、その時の友人の「な?」とでも言わんばかりの表情は今でも忘れられません。シンプルな画面、シンプルなルール、簡素なBGM、しかしその奥に潜む心理戦…。私と友人はプレイに没頭し、いつしか「真ん中!端!端!真ん中!」と体育会系ばりに声を掛け合いながら連続ジャンプをするようになってしまったのでした。

 

 それからというもの、私と友人のメトロクロス攻略が始まりました。少しずつ先の面に進むにつれ、各セクターの3面が例の連続ジャンプ面であることが分かり、これらの面はもはやジャンプ台の位置を丸暗記するしかない、という結論に達しました。紙に書いて、それを見ながらのプレイでも良かったのですが、プレイ中はそんなものを見ている余裕はないので、結局覚えるしかないのです。しかしジャンプ台は大抵「中央→端」や「端→中央」や「前のジャンプ台の隣の位置」などの法則性が見い出せたので覚えるのが容易になり、やがて3の倍数面は愉快なアクティビティへと変わりました。

 さて、問題はそれ以外の面です。先の面に進むほど、障害物の配置が嫌らしくなっていきます。ノーマルタイルが緑のタイルにビッシリ囲まれ、まるで飛び石のように連続ジャンプをしなければならなかったり、緑のタイルによって二又に分かれた先の1つが緑のタイルに囲まれた行き止まりだったりと、テクニックと暗記力を同時に試されるステージ構成となっていました。

 

 その中で我々が一番頭を悩ませたのが「スケボー出現直後に立ちはだかる無数のハードル地帯」でした。まずコース上にスケボーが出現します。ヒャッハー!と意気込んで乗り込みます。直後10個くらいのハードルが壁のように並んでいて、その合間を縫うように進まなければなりません。失敗するとスケボーを失ってしまいますが、恐ろしいことにその先には緑のタイルがビッシリと並び、細かいジャンプを繰り返さなければならないゾーンになっているのです。

 上手くハードルをかわしてスケボー状態を維持出来れば、この緑のタイル地帯は問題ではありません。しかし我々は高確率でハードルにぶつかります。そしてサヨナラ、スケボー…!となるわけで、その後は緑の地獄(グリーンインフェルノ)が待っています。小刻みにジャンプを繰り返しますが、制限時間は無情にも減り続け、結果タイムオーバーとなってしまうのです。

 私と友人はゲームオーバーの画面を見ながら唸ってしまいました。何度やってもハードルにけつまずく我々です。しかしその先が緑地獄になっている以上、何か上手く抜ける方法があるはずなのです。しかし小学生のバカガキ2人が頭を突き合わせても分かるはずがありません。我々は為す術もなくひたすら修練に励んだのでした。

 

 そんなある日、友人の家に遊びに行くと、彼は部屋の真ん中で雑誌を読んでいました。しかし何だか様子が変です。それこそ食い入るように見ています。その雑誌は「ファミリーコンピュータマガジン」で、そこには驚くべきことが書かれていたのでした。

 

 

 続きます。



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過去のホームページ時代より寄稿させていただいておりましたが、とある作品を完結させぬままに十数年すっかり忘れ、この度親方の号令により、再び参加と相成りました、todomeと申します。 主に小話を寄稿させておりますが、マンガ、ゲームにつきましても、今後ご紹介させていただこうかと思っております。どうぞお付き合いください。

 - ゲーム, いにしえゲーム血風録, トドメ氏

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