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[96-02PL]名将ベンゲルとの出会い。

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 それは私にとって伝説のシーズンでした。

 95年のグランパス・エイトにありえないことがおきました。当時フランスリーグ・ディビジョンアンで、モナコを安定して優勝争いさせていた、ジョージ・ウェアを抜擢した、アンリ、トレゼゲの初期にたずさわった、これから世界的監督になるのが確実な監督がなんと日本に来たのです。

 それも当時弱小のグランパスに。

 私はJリーグが始まる前から、2年目までヴェルディのファンでした。それはブラジルで奇跡的活躍をしたカズなど、日本代表が多かったからです。それからヴェルディの時代は終わりに近づきつつあったのもあり、心は離れていました。


 一年前・・・。

 94年シーズン。これまたもう一つの奇跡ドラガン・”ピクシー”・ストイコビッチが日本に降臨しました。私はリネカーが活躍できなかったのはガスコインのようなパス出しを出来る人がいなかったからだと、評論家の意見を鵜呑みにしていたため自然と目はグランパスに移りました。

 90年ワールドカップでマラドーナと比較されるほどの活躍を見せたストイコビッチ、そして86年ワールドカップで得点王に輝いたイングランドの至宝ガリー・リネカーが組む夢のホットラインの誕生だと期待しました。

 しかし、当時のゴードン・ミルンという監督はチームを混乱させるだけに終始して終えてしまったのです。

 グランパスもエリベルトン、ビニッチをはじめ、ピクシー以外にもワールドクラスの選手を数人抱えていて、それをまったく生かせないというおよそ未来への展望を考えていないかのような場当たり的なチーム経営で混乱の境地にありました。


 そんな折にあらわれた奇跡がベンゲル監督だったのです。

 リネカーをはじめ、ピクシー以外の外国人はすでにチームを離れたため、まずベンゲルは自分の目で外国人助っ人を見つけてみました。

 自ら訪れたブラジルではベンゲルのサッカーを実践でき、さらに一人入るだけで強固なDFにできるトーレスを獲得。

 母国フランスでは熱いスプリットと大胆までなサイドチェンジが特徴なデュリックス。彼のサイドチェンジはベンゲルサッカーに欠かせないものになります。

 同じくフランスからはチームに穴が出来たときに埋めることのできるパシを獲得。

 これでピクシーをはじめ、強固なセンターラインが完成したことになります。

 こうして、シーズンは開始しましたが、さすがのベンゲルもアジアの日本という異国の地に戸惑いがあったためか、はじめは結果が残せませんでした。

 それががらりと変わったのは、中断の時にいったパリ合宿からでした。

 それからというもの1stステージ終わり、2ndステージのヴェルディに敗れるまで連勝を続けることになります。

 去年のミルンで外国人監督に疑心暗鬼になっていた選手たちもベンゲルという人はすごい人だと信頼感が出てきたといいます。

 去年はどうしようもない成績だったグランパスをここまで変えたベンゲルサッカーというものはどういったものなのでしょうか。




 これは現在のアーセナルでも変わらないことですが、


ベンゲルのサッカーというものは一貫しています。

 基本はダイレクトパスを中心としたシンプルな攻撃。

 そしてグラウンドを広く使います。サッカーというのは長くキープしているとDFが集まってスペースがなくなってしまいます。そこから個人技で抜けるという可能性は基本的に低いです。ましてや当時技術がある選手がそう多いわけではなかったグランパスはなおさらです。そのために一方のサイドが渋滞をおこしたら、かならずサイドをチェンジさせていました。ベンゲルは「一度一方のサイドでの攻撃を失敗したら、必ずサイドを変えなさい。」と指示したそうです。

 あとは、ボールを奪ったら、すばやく前に出すこと。とってから早く攻める。近代的なサッカーをグランパスに持ちこんだんです。

 蛇足ですが、この「とったら、必ず前を見てすばやくパスを出しなさい。」というのは今ベンゲルの元でプレーしている稲本にも浸透しているということはイタリア戦の柳沢へのアシストで証明してくれました。

 他にも極端までにラインを高くし、前線からプレスをかけまくるという超積極的な守備です。イメージとしては今シーズンのセリエAのキエーボのサッカーをイメージしていただけるといいかもしれません。

 90分持つのかという組織だったプレス、あくまでもシンプルで美しい攻撃といったものは当時Jリーグではまったく見られないスタイルでした。

 それだけに私は衝撃的だったのです。サッカーとはこんなにもシンプルで楽しいものなんだって気付かせてくれたのでした。

 決して個人能力の高くないグランパスの日本人をここまで組織だったものにした。それは日本人の気質にもあったものだったのでしょう。

 ただオランダ代表などにもいえますが、サッカーというものはいくらシンプルで早い攻撃でも単調では相手に止められてしまいます。それにスパイスが加えられるのが世界でも限られた才能の持ち主たちだけなんです。

 グランパスではなんといっても”妖精”ピクシーのまるで、別次元でプレーしているようなあの変化が必要だったわけです。

 それにより、抜群の組織に飛びぬけたスパイスが加わり、もうこれ以上のサッカーはないと思いました。見ていて幸せだったです。

 世界最高の戦術を決して駒がすぐれていたわけでないグランパスでいとも簡単に実現させたベンゲル。奇跡を簡単に起こしたそういっても過言ではないと思います。

 本当のサッカーを日本のJリーグ見せてくれたベンゲル。この時点で私の人生の師はベンゲルにきまったようなものでした。




 結局その年のセカンドステージは一歩届かなく2位。そして、この1年つちかったものが天皇杯で爆発するのです。ベンゲルサッカーを全てだし、素晴らしいサッカーをして勝ち進んでいくグランパス。その中にはベンゲルのもとで大きく成長した平野、小倉の姿がありました。とくに小倉は今のピレスのように大きく成長し、もうアンタッチャブルな存在に近づきつつありました。その中でのあの怪我。非常に残念でした。その2人の活躍もあり、決勝ではサンフレッチェを下して、見事優勝。

 ベンゲルの日本での挑戦が最高の結果でひと段落した瞬間でした。

 これだけの監督がヨーロッパがほっとくはずがありません。そうして、ベンゲルはあらたなる挑戦をするためにイングランドのアーセナルに向かい現在にいたります。

 グランパスはその後も常勝というわけにはいきませんが、安定した力を発揮しています。それもベンゲルがクラブを改革し、一つのグランパスサッカーというものを確立したからだと思います。

 任期についている時だけ結果を残せばいいという考えではなく、悪い伝統は直し、それを末永くつづけさせる。当時ベンゲルはFWに2人外国人を使わずに日本人を育てるためとかならず一方のFWは日本人にしていました。こういったことからもベンゲルが目先のことに走る単なる監督ではないことはおわかりでしょう。このこともベンゲルを尊敬している大きな要因です。




 さて、アーセナルの話はまた別のコラムで書こうと思っていますが最後に多くの方が心配されているであろう稲本のことをピレスのコラムで書いた中西さんの情報をもとに書いておきたいと思います。

 私を含めて稲本は海外で通じるほどにフィジカルが強い選手という印象があるでしょう。

 しかし、ベンゲルの考えは違います。

 「稲本は確かにボールを奪いに行く時はフィジカルがつよい。」「しかし、ボールを奪いに行く時は力を入れているので強いのはいわば当たり前なんだ。」「稲本はまだ当たられたときの強さが十分ではない。」「今はその弱点を補うような練習をさせている。」と語ったそうです。

 やっぱり素晴らしいです。その選手のどこが足りないのかを冷静に判断し、補うトレーニングをさせる。

 そうやって、アンリ、ピレス、ヴィエラなどのアーセナルの選手はスーパーになっていったんですね。

 これだけでも稲本がアーセナルにいってよかったなと思います。

 Man.U戦に勝って、シーズン最後の試合は稲本のデビュー戦になるように祈っています。




 このようにベンゲル監督は自分のしっかりした目をもち、チームに根幹の規律をつくります。結果が出ないときはそこに戻るだけという考えです。

 イングランドの試合の後に酒を飲むなどの悪習を真っ先に改善させ、アダムス、ディクソン、キーオンなどの選手は選手としての寿命をまっとうすることができました。

 クラブ全体を改善するマネージメント力、選手の弱点をみつけ補強して育てる育成力、チームの根幹的戦術を作る力。こういったものをあわせもった素晴らしい監督だと思います。

 興味を持たれた方がいたら、これからのアーセナル、ベンゲル監督に注目してみてください。


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galthie

スポーツ全般がとても好きです。もともと好きだった将棋も1年くらい前から本格的に指しています。別の趣味であるコンピュータを含めてみなさんの役にたつ情報を載せていきたいものです。 好きなチーム:アーセナル 将棋棋力(2016年1月現在) 【将棋ウォーズ】3級 【将棋倶楽部24】13級 最高R310(R300あたりをうろちょろ) 【将棋道場】対局数少なく判定出ていません

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